Sonata's diary

塗り絵とか写真とか、趣味の記録をマイペースで付けてます

実家のチワワ 07

2014.05.22 続き

病院へ行き、経過報告。血液検査をしました。結果は思わしくありませんでした。血中尿毒症を示す数値がガツンとあがっていました。

そして、体重が増えている。

腹水の疑いです。

少しバリカンでお腹を剃り、エコーを取りました。

お腹には水がない。

胸の毛を剃り、エコー。

ありました。胸水でした。エコーで心臓が綺麗に見えないくらい、溜まっていました。

抜かなくても苦しい、抜いてもまた溜まる、けれど、抜かないと心臓や肺を圧迫する。

少しだけ局部麻酔を使うけれど、水を抜こうということになりました。

細い針を刺しても、中々水が抜けてこない。針が入らない。

3本目、ようやく太めの針が入り、水が抜けました。抜けた水は、透明ではなく白濁でした。リンパも悪いようでした。

抜いた水の成分を調べてきますと先生と看護師さんが診察室を後にした直後、診察台の上の彼がカクンと足から崩れました。

「少し麻酔かけたからかな?お父さん抱いてあげなよ」と私が言い、父親が抱きました。

しかし、何か様子がおかしい、そう思っている矢先に、不思議な呼吸をしました。吐くの?そんな呼吸でした。吐いた物を拭いてあげようと思いましたが、何も出てこない。あれ?吐かないの?

2度目の呼吸を見送った私は、おかしい。と察知、すぐに先生を呼びました。

即座に来てくれて診察台に乗せた時には自立できませんでした。おそらくお腹を見たんでしょう、先生が「酸素!」というとほぼ同時に、看護師さんが小さな酸素をもってきて鼻の前に置きました。

この時、なにが起きているのか理解できていませんでした。今思い返すと濃い酸素を鼻先からかけて、呼吸するかお腹の動きをみていたんだと思います。

でもすぐに「酸素吸入します、奥へ」と、奥の部屋に連れていかれました。(ここ、本当は何を言われたか聞き取れていませんでした。ただ、延命処置をするってことなんだろうなって、なんとなく理解はしていましたが。先生も言うが早いか行動が早いかの勢いで動いていました)

呆然と診察室でつったってた私と父を、別の看護師さんが呼びに来て部屋へ案内してくれました。

そこは、診察室の横、ほとんど外から見えない場所にある部屋でした。僅か数秒の間に小さな口に酸素吸入のための管が入り、心臓の動きを調べるための管が体にセットされていました。

先生は心臓マッサージをしていました。看護師さんは体をこすっていました。

呼吸が止まって、5分以内に戻ってこないとダメだそうです。

最後には、チューブで直接息を吹き込んで心臓マッサージをしてくださいましたが、戻ってきませんでした。一瞬、鼓動がもどったか?と思った瞬間があったのですが、違いました。再び動く力は、残っていなかったみたいです。

私も触れて、まだお母さんに逢ってないよと、声をかけましたが、ダメでした。

ダメでした。

先生がおっしゃるには、水を抜く治療での緊張が弱っていた心臓や体力で耐えられなかったのかもしれない、との事でした。少しでも楽になればと思って処置を選んだのですがと、頭を下げられました。

こんな風にかけば、医療事故みたいに見える人もいると思います。

局部とはいえ麻酔を使ったのが悪かったんじゃないか?と。

心臓への負担があるのが分かっていればやらなければよかったんじゃないのか?と。

けれど胸水は抜くも地獄、抜かないも地獄。

抜けば治療の恐怖、抜かなければ肺や心臓を圧迫する水がさらに溜まって、呼吸が苦しい時間を過ごすことになる。

遅かれ早かれ、抜かなければならない。

抜かないでいくならば、苦しい呼吸の中、しんどいって思いながら死期を待たなければならない。

抜いても抜かなくても、おそらく先はあまり長くなかった。

何が正しいかはわかりません。正しいなんておそらくない。

でも、誰もが彼の事を思って動いていました。それだけは確かです。

幸い、呼吸が止まるとき、彼は父の腕の中にいました。

苦しい呼吸も、わずか数回でした。

もう、辛い思いをしなくていいね。一生懸命に呼吸しなくていいね。

まだ暖かい彼を、父と二人で連れ帰りました。