Sonata's diary

塗り絵とか写真とか、趣味の記録をマイペースで付けてます

転寝 夢現

やっと聞こえた?

「自分を探す旅へようこそ。ここはどこかわかる?見える?」

「城」

「そうだよ、正解。君が物語を書くのを好きだったころ、構築した自分の世界。しっかりと何度も何度も表現方法を考えてリアルに表現しようとした。だからとても頑丈に残ってる」

入城すると広い吹き抜けが広がり、中央の奥には広い階段がある。人間が10人は横に並べる幅だろう。床は磨き抜かれた石材、天井のシャンデリアを反射して綺麗に輝いている。彼が一歩歩くと、コツリと、快い音がした。

「君はまだ若い学生の頃、背景の物語すら成り立っていない頃に、僕を産み出した。大きなスケッチブックに、絵の具で描いてくれたね」

それならばしっかり覚えている。豪奢なマントの風合いをどうにかして出したくて、黄色と黒を使うことにした、色彩の彩度は低いのに、派手な一枚だった。

「どうせ絵なんてかいても意味がない。描いていても何にもならない。上達もしない。君は、そのスケッチブックを捨てることに成功したね。最近は、捨てる時に撮影した写真さえ捨てることに成功した。これで、永遠にあの一枚は消えたことになる」

「物語も何もなかった時、僕の存在理由は描かれた時に君の中で想像されたわずかな背景だけだった。僕は背に白と黒の巨大な羽をもつ。一つの体に二つの魂を持つ存在。そんな僕が一人の女性に恋をする。白い魔法使いだ。絵は、彼女の元に僕らが降り立ったところだった」

どうして捨てたの?

もうやらないと思って捨てたよね。

けれど、あの一枚を忘れまいと、どこかで必死だ。

過去にすがる必要はない、けれど、本気でいらないと思っていないものまで捨てる必要はない

ゆっくりやすんでいいけれど、おぼえておいて。

そして、できれば、忘れないで。

君の中に君が培ってきた、いろんな存在があることを。

今は塞いでしまっているけど、色んな声や音が聞こえていた事を。

不思議そうな顔してるね?

君がくれたんだよ。どこに居ても、色々な人の声、感情が届く能力。この体が動ける範囲手の届く範囲には手を差し伸べる、届かない場所には風に祈りを想いを。

人懐っこい笑顔で彼は笑った。

空気が柔らかく軽くなる。

懐かしい顔だった。

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昨日の記事をUpした後、うたた寝していたら、見た夢です。

なんとも不思議。

記録のためUp